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園長の気まぐれ日記

DIARY

2021.7.21

私達が大切にしたい“子どもを中心とした”認定こども園の在り方について

現在、園舎移転に向けて、順調に新園舎の工事が進んでおります。また、令和4年度からの認定こども園開園に向けて、園としての方針や運営内容等もある程度固まり、こちらも着実に準備が進んでいるところです。そこで今回は、「私達が大切にしたい認定こども園の在り方」について、お伝えしていきたいと思います。

先ず始めに、「札幌ゆたか幼稚園」は今年で創立55周年を迎えました。昭和42年3月に幼稚園としての認可を当時の道知事より受け、創設者である初代園長 丸谷 三寶麿が、“人育ちの原点”である幼児教育を地域に根付かせたいと願い、「学校法人札幌豊学園 札幌ゆたか幼稚園」として運営を営むこととなりました。(当時高校教師の丸谷 三寶麿は、教育の原点に立ち返りたいと考え、高校教師を退職し、幼児教育を豊平の地で営んでいくことを決意しました。)その後55年間に亘り、その時代に求められる子どもを中心とした幼児教育の営みに邁進し、豊平の地に根付いた幼稚園として、令和3年3月には6,423人の卒園児を送り出しました。

このように長年に亘り、現在の場所で幼児教育を営んで参りましたが、この度より一層、質の高い幼児教育を実践していくための環境を求め、悩みに悩んだ結果、「移転」と同時に「幼保連携型認定こども園」へ移行することとなりました。正直なところ、慣れ親しんだ場所を離れる寂しさは今も尽きません。また、幼稚園として長年に亘り幼児教育の実践を積み上げてきたことから、「幼保連携型認定こども園」に移行することへの抵抗感も全くないとは言えません。しかしながら、「良質な環境(園舎・園庭の広さ、遊びや生活の動線等)」を追求していくことと、「社会に求められる子育て支援」への対応に真摯に向き合い、社会的な使命を果たしていくためにも、前向きな心持ちで「認定こども園 札幌ゆたか幼稚園」として再スタートしていく所存であります。

 

そのような“想い”を胸に、来年の4月からは「幼保連携型認定こども園」として開園する予定ですが、制度上の複雑さは否めず、在籍する子ども達は主に「幼稚園在籍(1号)」と「保育所在籍(2・3号)」に分かれることとなります。とは言え、「認定こども園」は制度上、満3歳以上の子ども達全員に幼児教育を行う施設ですので、「幼稚園在籍(1号)」であろうが「保育所在籍(2・3号)」であろうが、幼児教育の内容は変わりません。ちなみに当園では既に「2歳児クラス」を設け、3歳の誕生日を迎える“年度”の子どもを対象に、(在籍上は「子育て支援(3歳の誕生日を迎えるまで)」~「幼稚園(3歳の誕生日を迎えた日から)」)“2歳児らしい”育ちを見据えた幼児教育を行っているので、実質的には4年間幼児教育を営んでいることになります。(※2歳児クラスの「コンセプト」につきましては、前回の記事をご覧ください。)よって、2歳児~5歳児までの4年間に亘って幼児教育を行うことは、「認定こども園」に移行しても変わりません。では、移行することによって、どのような点が移行する前と異なるのでしょうか…?

「幼稚園在籍(1号認定)」と「保育所在籍(2・3号認定)」で大きく異なることは、開所日と時間です。当園の「幼稚園在籍(1号認定)」は、月~金曜日の8時半~14時が基本の教育時間です。また、それ以外の時間として、預かり保育(ホームフレンドサークル)を8時~8時半と14時~18時に行っています。次に、来年4月からの当園の「保育所在籍(2・3号認定)」は、月~土曜日の7時~18時が保育標準時間となり、18時~19時は時間外保育を行うことになります。(保育短時間は8時半~ 16時半です。)制度上このような違いが生じてしまうところが「認定こども園」の“難しさ”でもあります。当園は現在も預かり保育を行っているので、一見あまり変わらないようにも思えますが、「子ども側」と「大人側(保護者)」のそれぞれの視点から考えてみると“複雑さ”が浮かび上がってきます。

「子ども側」の立場になって考えてみると、保護者と離れる時間が長時間となってしまうことを「嬉しい」と感じる子どもは1人もいないのではないかと思います。乳幼児期において、最大の安心基地である保護者の温もりを感じながら生活をする“家庭”は、子ども達が育っていく上で欠かすことの出来ない“居場所”であり、そこで過ごす時間は生涯においてかけがえのないものになると思います。そのようなことを鑑みると、子ども達は保護者から少しの時間だけ離れ、自立の経験を積み重ねながら人と関わるスキルの基礎を身に付けるために、適度な時間を“園”という小さな社会で過ごすことが理想と言えるでしょう。ちなみに、幼稚園の1日の教育時間については、乳幼児期の心身の発達の程度を考慮し、国として「4時間」を標準として定めています。当園の徒歩通園の教育時間を基本として考えてみると、8時半~14時の5時間位を園で生活することになります。自立に向かう多様な体験に全力で向き合うのが幼児の特性でもあることを考えると、子ども自身は自覚していなくても心身の疲れは当然あり、その栄養補給として“家庭”の中で保護者に甘えるといった態度等で要求してくるのも自然の姿と言えると思います。このように、日々保育を営んでいる私達の目線から子ども達の園生活を改めて捉えてみても、1日の園で生活する時間は5時間位が丁度良く、国が定めている教育標準時間は理にかなっていると感じています。しかしながら、現在、当園も保護者をはじめとする社会のニーズに応えるためにも、預かり保育を行っていますが、複雑な想いを抱いている子ども達の姿(「早く帰りたい…」「お母さんに会いたい…」)を目のあたりにすることもあり、正直なところ18時まで保護者と離れて園で過ごすことは、「子ども側」の立場からとするといかがなものなのか…と日々葛藤しています。子どもの「早く迎えに来てほしい…」「みんなと同じ時間に帰りたい…」といった心の想いに、心から応えてあげたいと思いますが、園側だけではどうすることもできない悩みの1つです。

一方で「大人側(保護者)」の立場からすると、「家庭を支えるため」「自分自身の人としての成長のため」「社会に貢献するため」等、様々な理由から仕事等に時間を注ぎ、ひいては「我が子のために…」と考え、一生懸命向き合っていることと思います。これは一人の人間として、そして社会の一員として、人々が幸せで豊かな暮らしを営んでいくために欠かすことの出来ない人間らしい姿だと思います。しかしながら、このような仕事等の営みを、家庭を持ち且つ子育て真最中に両立させることは、決してハードルが低いとは言えません。当然のことながら1日の時間は24時間と決まっているので、仕事等に費やす時間が増えれば増える程、家庭で過ごす時間は減り、自ずと子どもと関わり合う時間も少なくなります。このようにバランスを保つことの難しさは、私自身も子を持つ1人の親として痛感していることです。好き好んで我が子と長時間離れたいと思っている保護者は誰もいないと思います。(リフレッシュ等、一時的に離れたいと思うことは自然なことだと思いますが…。)それでも、「仕事が忙しい…」「子どもが待っているから早く…」等といった葛藤をしながら、長時間子どもを預けている保護者の方の心情を考えると、“複雑さ”を抱かずにはいられません。

 

このように「子ども側」と「大人側(保護者)」のそれぞれの立場から考えてみると、お互いの理想だけを追求することは難しく、頭が痛い問題として日々の生活に追われながら向き合い続けるしかないのも現状かもしれません。ただ1つ言えることは、「子ども側」の想いは年齢が低ければ低いほど、自分自身で上手に発信する力が乏しく、その表現は「大人を困らせる」といった言動を起こす場合もあります。「大人側(保護者)」は悩み等を発散する“術”がある程度備わっていますが、「子ども側」からするとその力もまだまだ乏しく、結局のところ「保護者」に依存することでその場その場を切り抜けていくしかないのかもしれません…。

 長時間子どもが園で過ごす問題は、「子ども側」と「保護者側」のどちらが悪いわけでもありません。これは長時間預けることを可能とした(標準とした)、日本の制度上に問題があると、私自身は長年に亘って感じています。そもそも乳幼児期の子どもを、保護者から一日最大12時間、1週間で最大6日間も離れることを可能とした保育制度は、「子ども側」の立場からするといかがなものかと思わざるを得ないものです。(ちなみに…小学生が利用する児童館の開所時間(延長時間を含む)は学校休業日で8時~19時の11時間です。)このような日本の保育制度は、経済成長を促す「雇用側」や女性の社会進出等の「働き手」に焦点を当てて作られていて、そこには「子ども側」の立場に立った視点が全く考えられていないといっても過言ではありません。しかもそこに追い打ちをかけるように、保育の受け皿を作り過ぎた代償として、「保育者不足」が全国各地で起こり、結果として良質な環境で保育を営むことが困難な園も多くなり、そのしわ寄せは子どもに来ています。国として「子ども側」の立場に立ち、「子ども側」の心持ちの視点を見失うことがないよう、今一度制度の改正や社会の在り方を見直すことが出来るよう、政治家や官僚等の行動に期待したいものです…。(例えば…乳幼児期の子育てをしている人は、遅くても17時位までに我が子を園に迎えに行くことが出来るような働き方を、各職場が構築しなければならない法律を制定し、その分の運営は国費を投入して職場の経営をサポートする。そしてその国費は、現在長時間子どもを預かることによって保育現場に投入されている運営費を調整して財源を確保する等々…とにかく未来の社会を支える“宝”である子どものために、もっと国費をかけて欲しい…日本は教育にかける予算が先進国の中で最低クラスですので…。)

さて、半ば愚痴のような私自身の想いを述べてしまいましたが、それでも私達保育現場としては、「子ども側」と「大人側(保護者)」の両方の想いに可能な限り応えていくために、「認定こども園」に移行する選択をしました。それは園に直接関係する「子ども」「保護者」「職員(保育者)」をはじめ、間接的に関係する「地域の方々」等々、「子ども」を中心に全ての人が幸せであって欲しいと願うからです。その中でも私達が1番忘れてはいけないことは、「誰の」「何のため」の“園”かということです。それは当然、「子ども」の「心身の成長」をサポートするための園です。「子ども」を中心に位置付け、「家庭」「園」「地域」等が互いに協力・連携し合い、子どもが子どもらしくのびのびと園生活を楽しみ、幸せな日々を送ることが出来るような園運営を行っていきたいと考えています。その為には、「子ども」を中心とした生活スタイルを基盤とし、「遊び」や「活動」等をバランス良く計画しながら、乳幼児期の子ども達にとって無理のない時間の中で、保育を営んでいきたいと考えております。それはすなわち、現在の「幼稚園スタイル」を基本とするということです。(「幼稚園スタイル」とは…1週間の中で月~金曜日の5日間、8時半~14時の教育時間の枠の中で保育を計画し、子どもの心身のリフレッシュのためにも夏・冬・春休みを設けることです。

そこで「幼稚園スタイル」を基本とするため、1号認定135人・2号認定18人・3号認定12人とし、「幼稚園在籍(1号認定)」の子どもを中心として考えた定員設定としました。今までと同様にクラス担任制を基本とし、基本の教育時間以外の時間は「保護者対応」「保育カンファレンス(今日の保育の振り返り~翌日以降の保育の計画等)」「行事の計画や準備~振り返り」「保育の質向上のための園内研修」等々に時間を必要とするため、クラス担任は平日の基本の教育時間のみ子どもと直接関わり、保育を営んでいくことになります。(これは現在も同様です。)このように、基本の教育時間に合わせて人員の配置を充実させるため、それ以外の時間や土曜日は必要最低限の配置となり、フリー保育者を中心として保育を営んでいくことになります。その為、主に「保育所在籍(2・3号認定)」の子どもが利用する土曜日や14時以降等の時間は、子どもに負荷をかけ過ぎず、ゆったりとした家庭保育のような雰囲気を大切にしたいと考えておりますが、人員の配置や保育環境は同等の質を担保するのが難しいのも現状です。これは「保育所在籍(2号・3号認定)」の保護者のために、月~土曜日の7時~19時まで開所するよう札幌市より定められていることが、保育の質を保つ難しさの要因の1つとなっています。(そもそも国が定める労働時間は原則1日8時間、1週間で40時間までなので、クラス担任が開所時間全てを受け持つことは不可能です。)よって、職員(保育者)の働く時間や環境を守り、子どもと関わる時間に全力でエネルギーを注げるよう、主任を中心としながらクラス担任とフリー保育者が連携を取り合い、1人ひとりの子ども達に向き合っていきたいと考えています。

このように、「認定こども園」として運営をスタートさせる上で、今まで通りの「札幌ゆたか幼稚園スタイル&ポリシー」を大切にしつつも、就労支援と子育て支援のニーズに応えていくために、可能な限りの体制を整えていきたいと思っています。その際、保護者の皆様にも当園が「札幌ゆたか幼稚園スタイル」の「認定こども園」であることをご理解いただき、やむを得ず教育時間の5時間を超えて子どもを預ける場合、子どもの心身の育ちを第一に考え、必要最低限の時間のみ預けていただくようご協力をお願いしたいと考えています。

大人側や制度上の都合により、子ども達の在籍を分けざるを得ないのが日本の幼児教育施設の現状ではありますが、子ども側に立って考えてみると在籍等の問題は全く関係なく、ただただ「先生や友達と思いきり遊びたい…」そして園である程度過ごした後は、「大好きなお母さんお父さんと一緒にいたい…」と願っていると思います。社会の中心に子どもを位置付けながら「家庭≒園≒地域」が互いに繋がり合い、生き生きとした子どもらしい姿を支えていくことを念頭に置き、「札幌ゆたか幼稚園らしい認定こども園」として令和4年度より再スタートしたいと思っています。なぜなら、私達の1番の使命は、「乳幼児期の心身の健やかな成長を、子ども側の“立場”と“視点”に立って支えていくこと」だからです…。

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